同志社人インタビュー第7回 ~船井電機株式会社 代表取締役会長 柴田 雅久さん~
同志社人インタビュー第7回目は、前回太田雄貴さんにご紹介いただきました、船井電機株式会社代表取締役会長 柴田雅久さんにインタビューを行いました。
普段お伺いできない貴重なお話を、たくさんお伺いさせていただきました。
終始楽しくインタビューさせていただいたので、ぜひ最後までご覧ください!
柴田 雅久氏 船井電機株式会社 代表取締役会長
京都生まれ京都育ち 同志社中、高、大(1980年工学部)を卒業後、
松下電器貿易(現パナソニック)に入社、海外20年(英国、米国、ドイツ)の後帰国し、
2011年パナソニック役員就任、専務(兼)パナソニックオートモーティブ社長、
2022年日本自動車工業会 理事、2023年から現職。
インタビュアー
・同志社大学法学部4年次生 青木 菜々子(写真:右)
・同志社香里高等学校3年生 青木 孝太郎(写真:左)
Q:現在は船井電機株式会社の代表取締役会長として活躍されている柴田様ですが、組織のリーダーとして活躍するために必要な素質は何だと思いますか。
A:「人徳」だと思います。人は1人だけの力では何もできません。なので、私自身も自分の知恵やリーダーシップだけを頼りにするのではなく、いかに人の知恵を借り、周りにいる人たちを大事にしていけるかということを大切にしています。
Q:船井電機株式会社には現在2,000人ほどの社員の方々がいらっしゃると思いますが、船井電機で働く社員の方々にはどのような人であってほしいと思いますか。
A:良い質問ですね。やはり、従業員の皆さんには、船井電機のファンであってほしいですね。そのためには、経営者と従業員がお互い尊敬し合える関係作りを構築していく必要があると思います。
Q:なるほど、では、従業員の人たちとの信頼関係の構築や従業員を成長させていくために具体的にはどのようなことを心がけていらっしゃるのでしょうか。
A:コミュニケーションです。私はいつも「Commitment」「Challenge」「Communication」の「3C」を大切にしています。やはり上司との関係でもお客様との関係でも、約束を守っていくというコミットメントは必要ですし、そのためにはコミュニケーションが必要不可欠だと思います。私は今年の6月から船井電機の会長になりましたが、部長以上の役職を担う従業員と、一人ずつ個別面談を行ってきました。面談では、聞くということも大切ですが、しっかりと自分の想いも伝えていかないといけないと考えています。最近、やっと1巡目の面談が終わったので、まだ面談を行ったことがない人も含めて、2巡目3巡目と引き続き行っていきたいと考えています。
Q:ビジネスの上でも、コミュニケーションによる信頼関係というものが大切なのですね。とても勉強になりました。それでは次に、学生時代のことについて質問します。柴田様が学生時代にやっておいて良かったと感じたことや思い出はありますか。
A:友人たちと車で日本一周をしたことです。車3台で友人たちと3年間に分けて行きました。旅の途中のご飯も自分たちで何とかしないといけなかったですし、車には3人ずつ乗っていたので寝るときも窮屈で大変でした。今となっては良い思い出ですが、友人にこの旅を誘ってもらったとき、私は嫌々行っていました。やはり、自分から進んで取り組める趣味などを持つべきだったのかなと思いますね。学生時代はもっと自主性を持つべきだったなと思います。
▲学生時代のお写真(4枚)
Q:同志社での良心教育の学びが、大学卒業後の自分に何らかの影響を及ぼしたことはありますか。
A:最初に述べたように「人徳」は良心教育に繋がる部分があると思います。会社を再建させたり立ち直らせたりと苦労されてきた経営者の方々の中には同志社出身の方が多いと感じています。というのも、同志社出身の方は、人の知恵や力を借り、チームで協力して物事を立て直していこうとする人が多いからです。このような人徳を大切にできるのも、やはり、良心教育を受けた同志社生だからこそではないでしょうか。
また、良心教育の教育理念の1つに「自由主義」があると思いますが、この「自由」と「自主責任」とをはき違えてはいけないということも学びました。私は学生時代、「自由」と聞くと「何をしても良い」という風に思ってしまいがちで、その結果、自主性のないまま遊びもスポーツも中途半端になってしまいました。今となってはとても後悔しています。だからこそ、大人になって思うのは、「自分自身で責任を負う覚悟のできている人が自由を得られる」ということです。責任を持って何かに打ち込むことで後から自由がついてくるのだと思います。
Q:たしかに、これまでの同志社人インタビューのなかでも「同志社では、自分の考えや責任の上に自由が成り立っている」と仰っていた先輩方が多くいらっしゃったように思います。それでは最後にお伺いします。2075年に同志社は創立200周年を迎えますが、そのとき同志社にはどのような学園になっていてほしいですか。
A:グローバルに活躍できる人材をどんどん輩出していける学校になっていてほしいと思います。50年先がどのような世界になっているかと想像してみると、全てのエネルギーが再生可能エネルギーになっていたり、日本の公用語が中国語や英語になっていたりしていてもおかしくありません。そのような世界で、「井の中の蛙」になってほしくないと思っています。そのためにもやはり、同志社には、海外でも活躍し、役に立てる人材をどんどん生み出せる学校になっていてほしいです。
インタビューを終えて感想
■青木 菜々子さん(同志社大学法学部4年次生)
学生生活も残り少なく、もうすぐ新社会人になるというタイミングで、ビジネスの最前線でご活躍されている柴田様にインタビューでき、大変嬉しかったです。また、インタビューを通じての学びも多くありました。私が最も印象に残っているのは、「自由と自主責任をはき違えてはいけない」という柴田様の言葉です。柴田様のお話を聞き、自分がやりたいことを行うには責任が伴うけれど、責任が伴ってこそ自由を実現できるのだと改めて気付かされました。私も柴田様のように、常に自分の行動には責任を持ちつつ、やりたいことを実現していける人になりたいと思いました。また、インタビューでは終始、自らの想いを包み隠さず語ってくださり、そのような柴田様のお人柄が、周りの方々との信頼関係を築く「人徳」に繋がっているのだと感じました。ありがとうございました。
■青木 孝太郎さん(同志社香里高等学校3年生)
同志社大学工学部を卒業後、パナソニックへ入社しその中で多くの経験を積まれた後に、転職されて様々なチャレンジをされておられる柴田様に様々な質問をさせていただき、これからの人生において多くの大切なことを学ばせていただきました。インタビューの中で柴田様は、「良心と自由には自主責任を持つ必要がある。」という言葉が最も印象に残っています。新島襄先生は「自由と良心に立つ人間を養成するキリスト教教育」を掲げて同志社を創立されました。自由と良心は大切だが、それ以前に自分たちの行動一つ一つに責任がある事をしっかり見つめ直すことが出来ました。柴田様は、船井電機を救う良心と共に、その行動に責任を持っていらっしゃるため、船井電機に対してものすごく真摯に向き合っていらっしゃいました。その様な姿勢を見習い、これからの大学生活、そして日々の生活を豊かにしていこうと思いました。
【柴田さんから次回の同志社人インタビューに登場してくださる方をご紹介いただけないでしょうか。】
同志社大学神学部卒業で日産自動車の最高経営責任者CEOである内田 誠さんを紹介させていただきます。内田さんとの接点はパナソニック時代のお客様として、日本自動車工業会時代では理事会でご一緒しておりました。
グローバル企業のトップ、自動車業界の重鎮であり、尊敬できるグローバル経営者です。
同志社が、そして、学生が将来グローバルに活躍するためにも非常に学ぶことが多いという思いから、バトンをお渡しさせていただきます。
——— 次回は、日産自動車株式会社取締役 代表執行役社長兼最高経営責任者 内田 誠 様(1991年同志社大学神学部卒業)にご登場いただきます!